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【5月号】時言 立憲主義とは何か
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2007/05/11
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時言 立憲主義とは何か
国家主義・滅私奉公・戦争という戦前・戦中の辛酸故に、戦後平和憲法に救われて今日があるとする戦前・中派、あるいは憲法体制をあるがままとしたが故に、憲法を「空気のような存在」とする戦後は等々論じられている今、「あなた」は憲法をどのように受け止めているのか、と問われている ▽総じてマスコミは憲法を「理想の灯」として対象化し、外に位置づけようとの作意にあるようだ。例えば、自衛隊という現実を受け止めつつ九条を理想として守るというように、憲法の保障するどの権利・自由についても制限された現状を許容しつつ、憲法の内実を理想として大切にするという、人々の現実を踏まえてのことであろう▽このように憲法はその内実そのままには、各個人の血肉とはなっていない。この憲法と乖離した現実は、権力によって政治的に作り、拡大されてきた。今、安倍反動政権はこの乖離を改憲のエネルギーとして利用し、さらには各個人の内に残る明治以来の古い価値を「美しい国」の名の下、戦後レジュームからの脱却と称して呼び覚まそうとしている。それもわざわざ人心や社会を荒廃するにまかせて▽しかし私たちは知っている。「闘いの中にこそ自由も権利も現実化する」のが事の真実なのである。となれば60年代以降の反安保・反教育反動化・反差別等々の闘いの中で、憲法は人々の血となり肉となっている。まさに政権の専横を憲法で縛り、憲法を守らせる闘いこそが憲法の血肉化であり、それが即、立憲主義の本旨であると確信するものである。
(安保英賢)
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